水遊び前に保育士が見落としがちな子どもへの配慮
しほちゃんは5歳児。
水遊び前の着替えが遅くて、いつも怒られていました。
水遊びは大好きだし、持ってきた水着はお気に入りの水色。
だけどどうしても着替えが出来ない理由が、しほちゃんにはありました。
何だと思いますか?
しほちゃんは男の子の前で着替えるのが、恥ずかしかったんです。
そして、そんな自分の気持ちを先生に伝えることが苦手でした。
「しほちゃん早く着替えよう」
「しほちゃん早く着替えて!」
「しほちゃんみんな着替えたよ」
「なんで着替えないの!?」
と怒られ、最後には、
「もう知らないからね!!」
と、先生はお友達を連れて保育室を出て行きます。
誰もいなくなった保育室でやっと着替えることが出来て、少し遅れて、みんなと一緒に水遊びが出来るのでした。
異性の前で着替えたり、裸を見られたりすることが恥ずかしい。
そんな気持ちの芽生えが、人より早かったのだと思います。
夏場の水遊びだけでなく、この問題は、お泊り保育の泥んこ遊び(パンツ1枚で行う)や、みんなでお風呂に入る・・・
という普通は子どもたちが楽しみにするであろう活動も、ただただ嫌で仕方ありません。
ですが、自分の気持ちを伝えることが苦手だったため、親にも先生にも言えずにいたしほちゃん。
お泊り保育の泥んこ遊びもお風呂も
「おなかが痛い」
と仮病を使って回避したのでした。
前からブログを見てくださっている皆さんはお気付きでしょうが、しほちゃんは、私です。
最近では、保育園でも着替えるときに男女別の部屋を用意したり、プールなど水遊びの場が園外の人から見えないように、目隠しを置くようになりました。
数年前の職員会議で男女別に着替えをする配慮について提示されたときのことです。
主任先生が、その配慮についての説明をした後、ひとりの先生から
「子どもなのに必要ない、恥ずかしいなんて思うはずないんだし」
という言葉が出ました。
その先生はきっと子どもの頃、男の子の前で着替えることは何ら恥ずかしいことではなかったのでしょう。
でも、それはその先生の物差しですよね。
幼少期の私が頑なにみんなの前で着替えることを拒否しても、担任の先生は、私の気持ちに気付きませんでした。
きっとその先生の物差しで、
「恥ずかしいなんて思うはずない」
と私の気持ちは想定外だったのだと思います。
着替えとか食事というような生活に根付いたことこそ、大人は自分の物差しで物事を決め、子どもの心を見てしまいがちです。
まず子どもの気持ちを理解する。
保育の基本でありながら、自分の物差しが出てきてしまう保育者がいます。
自分の物差しで子どもの心をみないで下さい。
どうか今一度振り返ってみて欲しいです。
そして、幼少期の私みたいな子どもへの配慮をお願いしたいのはもちろんですが、逆にそういう意識の芽生えがゆっくりなお子さんへも配慮が必要です。
「恥ずかしい」という気持ちはなくても、人前や公共の場で服を脱ぐのはいけないことであるとか、異性の前で着替えることのないようにすることなど。
それを教えることは大切なことだと思います。
近年、子どもたちを狙った悪質な事件が絶えません。
これは保護者のみなさんに重々お伝えしたいことですが、レジャー先の海や川。
「子どもだから」
と人の目がある場所で着替えをさせることのないようにしましょう。
男の子でも女の子でも、同じです。
無防備だからこそ生む悲劇が現実にあります。
子ども自身の「恥ずかしい」という気持ちへの配慮。
子ども自身はまだ「恥ずかしくない」という場合の援助。
これからの季節、特に気をつけて欲しいと思います。
みんなで大切な子どもたちを守りましょう。