うめ先生のブログ

「子どもを集める」のではなく「子どもが集まる」保育をしよう!

食の援助とは

「食育」について書こうと思います。

食事のことを書くと賛成意見と同時に反対意見も来たり、

「じゃあ私の保育は間違ってるって言うんですか?!」

「本当はどちらが正しいんですか!!」

とすごい剣幕で(そのように感じる)メールを書いてくる方がいるのです。

 

私自身幼少期より偏食そして少食で、食事に対してあまり欲がありません。

だからこそ思うこと、考えていることを以前記事にしました。

その記事はこちら↓

www.hoikushiouen.com

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たくさん保育の勉強をしても、食に関しては自身の経験(育てられた環境)に根付いた考え方や援助をする方も多く、保育者によって考え方に差異があることは多いです。

「園によって」ではなく「保育者」によってと言うところがポイントでして、あまりに生活に根ざしていることだからか、園の方針や考え方はさておき自己の考えを通す方も多いです。

 

私が伝えたいことはこの記事をきっかけに「いま一度、自分の食の援助を振り返ってみて欲しい」ということです。私は「あなた間違ってますよー」「あなたはいいですよー」と評価したいのではありません。

ただ、よく知って考えて欲しいと思うのです。

 

保育者によって食育についての考え方、食の援助が様々だと書きましたが、我が子ふたりの出会った先生方にも色んな方がいました。

あまりに両極端だったのでご紹介しますね。

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ちなみに我が子(年子ふたり)は前に話した事情から味覚過敏がありました。

決して母が自分の偏食で、子ども達の食事メニューを偏らせていたわけではありません!(私が食べれないものもきちんと出していましたよ。念のためお伝えします。笑)

 

ふたりが3歳4歳のときに出会った先生の場合

出されたものは必ず残さず食べること。

一度口に入れたものは決して出してはならず、飲み込むこと。 

発達障害のことは伝えていましたし味覚過敏のことも伝えていたのですが、先生の食の方針は頑としてこれでした。

 

ある日迎えに行くと大量の衣服の汚れ物!!何事かと思ったら、娘が食べられないものを口に入れられ、泣いて拒否したけど出すことは許されないので無理やり飲んだら嘔吐してしまったとのことでした。

先生はいつも明るく元気で保護者への寄り添いも厚く、娘は先生のことが好きなようでしたがこの日から「保育園行きたくない」と愚図るようになりました。

 

ふたりが4歳5歳のときに出会った先生の場合

嫌いなものは無理しなくてもいい。

(挑戦できたらそれはすごいこと!!)

食べられないときは自分でそれを伝えよう。

 発達障害への研鑽もよくされている先生で、食に対しては個々に応じた援助をしているとのことでした。療育施設にも共に足を運んで下さり、この子に必要な食援助のかたちはどれなのかと熱心に質問してくれていました。

 

ある日早めにお迎えに行ったらまだおやつの時間でした。その日は息子の苦手な和風の蒸しケーキ。影からそっと見ていると神妙な顔でお皿を見つめる息子。小さくひとくちかじると牛乳を飲み干し、先生のところへ。

「しぃコレ好かんかった。残してもいい?お給食の先生にごめんねしてくる!」

先生が頷くと今度は給食室へ。

「コレ好かんかったんよ。残してごめんね。」

そこへ担任の先生が現われて

「でも少し食べてるんですよー!すごいでしょう!!」

とフォロー。給食の先生も

「少しでも食べてくれて嬉しい!ちゃんと自分が嫌いって言えて偉かったね~」

 

 

このふたりの先生の援助、間逆ですよね。(同じ園の先生ですよ)

このことを例に考えてみてください。

どちらが子の成長になっているでしょうか。

 

食育では、「食べる力」=「生きる力」を育むことが重要

とされています。

嫌いなものを無理に食べさせようとしてそれらが身につくのでしょうか。

 

確かに私たちは生きていく為に食べなければなりません。好き嫌いをせず、バランスの良い食事を規則正しく食べることは素晴らしいことです。

ですが、まず食事において大事なことは何なのかと考えて欲しいです。

 

「嫌いなものが出てきたらどうしよう」

「無理やり口に入れられたらどうしよう」

そんな風にびくびくと向かえる食事の時間と

「今日のごはん何かな♪」

嫌いなものは嫌いと主張できる安心感が根底にあるからこそ芽生える楽しみを持って迎える食事の時間。

どちらがいいでしょう?

 

我が子は味覚過敏だから特別なケアが必要だったと思いますが、そうでなくても特別なケアが必要なことは多々ありますよね?

 

・いつも食欲旺盛の子が今日は食べない。

   いつもみたいに食べなさい!なんて言いますか?

・毎朝の登園が遅く給食時におなかが空かない。

   他の子と同じ量、無理に食べさせますか?

・どうしても噛み切れず飲み込めないお肉。

   味も消えているだろうに飲み込むまで待つんですか?

・持ってきた主食弁当のごはんがガチガチでおいしくなさそう。

   そのかたいごはんも食べないとだめなんですか? 

  

一人一人の、その日の様子、家庭状況、配慮すべき点はたくさんあると思うんです。

安易に「残したら駄目」「好き嫌いは駄目」「あと半分食べて」「ひとくちだけ!」の言葉を発するのではなく、その子に適切な援助を選べる保育者になりませんか?

 

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余談ですが。

 

私自身偏食で苦労していると書きましたね。

今でも気を遣う相手とお食事なんてまっぴらごめんって感じです。笑

(仕事の打ち合わせを兼ねてお食事とかね)

 

まあ大人になると嫌な場面は避けて通る技も覚えますし、「それは残したらだめでしょう!」とか「ひとくちだけ食べてみなさい!」なんて嫌な事を言ってくる人もいなくなって、平和なのです。

そうするとですね、例えば仲良しの友達とお食事をしている場面で

「あああ!これおいしい!すごくおいしい!!口の中でとろける~」

と友達が絶賛しながら自分の嫌いなものを食べていると妙に気になるんですよ。食わず嫌いをしていたわけではないので、味に想像はつくのですが、

「え、そんなに???」(気になる・・・)

「じゃあひとくち食べてみよか」

となるんですよ。笑

 

そんなこんなでですね、大人になってから食べられるようになったものが少しずつ増えているんです!これはね、自分でもとても嬉しいんですよ。

一番最近食べられるようになったのは「揚げ」です!!!

これを克服したことにより稲荷寿司や餅巾着、「こんなにおいしかったんだ!」と感動しています!!!笑

 

無理強いされないことで食べられるようになることや、大人になってからふとしたきっかけで食べられるようになることってありますからね。

そんな「食に苦手を持つ者」の意見も心の片隅に置いていて欲しいです。

 

 

「おいし~~~~!!」

「しあわせ~~~~!!」

そんな言葉で溢れる食事時間を過ごしたいですね。