うめ先生のブログ

「子どもを集める」のではなく「子どもが集まる」保育をしよう!

気になる子が集団に入れない!と嘆く前に保育士がすべきこと

よっちゃん(仮名)は2歳児。

ケース会議に度々名前のあがる「気になる子」でした。

 

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よっちゃんはうめ先生の言うことしか聞かない・・・。

クラスの先生方は口々にそう言っていましたが、私はよっちゃんに限らず、どの子どもにも「言うことを聞かせよう」と考えたことはありません。 

 

ただ、子どもの気持ち、その子どもが何を考えているのかを理解し、受け入れる、共感する。

それだけなのです。

  

「気になる子」であっても、そうでなくても、同じです。

これは保育の基本であるはずなのに、

「この子を集団の活動に入れなければ!」

「集団としてクラスをまとめなければ!」と

集団の動きを重視し過ぎて、大切なこと(一人一人を見ること)を見落としてしまう保育士がいるのです。 

 

この時のよっちゃんは、優しく誘われても、怒られても、抱っこして連れて行こうとしても、その場に放置されても、頑なに、その場から動きませんでした。 

 

ですが、私のちょっとした行動で納得し、自分から保育室に戻りました。

  

そのちょっとした行動とは、よっちゃんの気持ちを理解する。

それだけです。

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よっちゃんは廊下のベンチにひざで立って、窓の外をみていました。

しかし、よっちゃんの視界は年長クラスの大きな靴箱でふさがれています。 

 

何をそんなにじっと見ているのだろうと、視線の先を見てみたら・・・

靴箱に留められているボルトが一箇所抜け、穴が開いていたのです。

よっちゃんはその穴をずっと覗き込んでいたんですね。 

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よっちゃんはそう言うと、場所をゆずってくれました。

よっちゃんが覗いていた穴の先に広がっていたもの、それは、

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よっちゃんお気に入りの滑り台。

「ここから見えるってよく発見したね~」

「滑り台が見えてたのかー!!」

「よっちゃん滑り台が大好きだもんね」 

 

よっちゃんは大好きな滑り台を穴からこっそり見つめて滑り台で遊んでいるような気分だったのでしょう。

  

私とのやりとりはたったこれだけでしたが、よっちゃんは満足して、

「えほんみよっと」

と、私を置いて(!!!笑)お部屋に戻って行ったのでした。

  

クラスを運営していると、早くみんなをまとめなければ!早く落ち着かせなければ!!

と焦ってしまう保育士がいます。

  

そのせいか、

「気になる子がいて、クラスがまとまりません・・・」

という相談を時々頂くのですが、その考え方は、保育士として淋しくなります。

  

クラス(集団)は一人一人の集まりです。

まずは一人一人としっかり関わり、信頼関係を培っていくことを目指しませんか?

  

そして一人一人と関わるときは、必ず、その子どもの気持ちを理解することを忘れてはいけません。

  

保育士の誘いに応じなかった、その場から動こうとしなかった、それにはその子どもなりの理由があるのです。

  

イラストに描いている、先によっちゃんと関わっていた新人保育士は、優しく誘ってみる、抱っこしてみる、など色々な方法は試していました。

ですが肝心のよっちゃんの気持ちを考えるという行為が、抜けてしまっていたんですね。

それが出来ていれば、私でなくてもしっかり対応できたはずなのです。

  

もちろんすぐに気持ちがわからないこともあるかもしれません。

そんなときは聞いてみたらいいんです。

「絵本みたくないの?」

「まだお外にいたかったの?」

保育士の言葉掛けや誘いに応じたときが正解です。

 

 

一人一人の気持ちを大切にする。

このことを忘れないでくださいね。